2018-01-03 Wed
大晦日、“棒組”である三春城下中町の旧桑原商店の崇さんから、出来立ての会津地方の郷土料理“こづゆ”を頂きました。
事あるごとに喜多方出身のお母さま手作りのでしたが、今年は腰痛のため息子夫婦の手造りということでした。
商人の一番忙しい歳時である、大晦日の仕事終わりに奥様に持参していただきました。
さすが、元大店の桑原家です。
商人の歳時に合わせたかのように造っていただいていますき、届けてくれます。
その心配りが嬉しくてたまりません。
今回も、和菓子屋の書き入れ時である“クリスマス”そして“歳末商戦”を乗り切れた安堵感と、それを共に喜んでくれる方々がいると思うと、“こづゆ”を口に頬張るたびに、この心遣いが嬉しくて、有難くて、涙がポロリと頬をつたいます。
お陰様で、めでたく新年を、そして、初売りを迎えることが出来ました。
本当にありがとうございます。
“こづゆ”とは、干し貝柱でダシを取り、豆麩(まめふ)、にんじん、しいたけ、里芋、キクラゲ、糸こんにゃくなどを加え、薄味に味を調えたお吸い物を、
会津地方では、祭りや祝い事の晴れ食として、また冠婚葬祭の時の膳にも必ず付く伝統食です。
会津と一口に云っても広く、それぞれの味を楽しめますが、私は桑原さんのお母さまが作る喜多方の“こづゆ“が最高に気に入っています。
普段から、何かと気をかけていただき、忘れかけている“母の味”を思い出させていただいています。
また、絵に描いたような「良妻賢母」。
母として、商家の女将として、嫁として見本のような方です。
私だけではなく、家内にも良くしていただき、良きにつれ悪しきにつれ知恵を授けていただいています。
以前親戚関係で悩んでいた時も良きアドバイスを頂き、事なきを得たこともありました。
さらに、お母さまも素敵ですが、嫁さんも素敵な方で、三春でも評判の“嫁と姑”です。
互いに扶け合う、正に“嫁と姑”の見本のようで、お祭り大好きのやんちゃな息子を嫁姑の”掌の上”で遊ばせています。
桑原のお祖母ちゃんに床の間にある軸を拝見させていただきました。
そこには「平常心是道」(ふだんの心こそが道である)と書かれていました。
曹洞宗大本山総持寺第24世 大道晃仙(慈峰英鑑禅師)和尚の書です。
總持寺開山瑩山禅師650回大遠忌の記念事業にて、篤信のあった檀信徒に授けられたものだと思います。
桑原家初代は信仰心が篤く、商売の成功の御礼としては菩提寺である三春城下清水の天澤寺の伽藍を飾る金糸の幕を寄進しています。
このような信心深い篤志も、三春商人の先輩の徳の積み方として参考にしなければならない事柄だと肝に命じています。
この「平常心」とは非日常的でなく、日常の生活にある、あたりまえとかの普通の心のことで、日々の生活がそのまま人の生き方(道)のあらわれだと説いているようです。
日常の生活をほかにして人の道はありませんね。
常日頃より、私も我が子のように気にかけていただいている桑原の御母堂様に、また一つ人の道を教えていただきました。
ありがとうございます。
さて、正月は和菓子屋はここからが商人魂の見せ所です。
“こづゆ”を食べて、気合をいて頑張ります。
春陽郷三春城下御菓子 三春昭進堂 菓匠蒼龍
| ryuichi | 04:53 | comments (x) | trackback (x) | 🌸春陽郷三春 日暮硯 |
TOP PAGE △