2020-10-03 Sat
「田村の庄 鷹巣の里を辿る」橋本史紀(本名 橋本吉正)著
この著書は、著者橋本吉正様の生家である鷹巣の橋本家、及び江戸期には鷹巣組頭を務めた本家の橋本家に残された資料を基に、原戸籍、旧墓地を調べ鷹巣にお住いの方々のお話を丹念に聴取してまとめられた渾身の一冊です。
販売目的ではなく、鷹巣の歴史を記し資料としてまとめられたとの事で、後世の方々に役立てていただきたいとの事でした。
表紙の宇賀神様の水彩画は、実妹で飯坂在住の水彩画家岸波きい子氏の作画です。
戦国期の三春城主田村家に縁を持つ鷹巣橋本家。
橋本家は、「そばの田村」田村家を、本家の本家、つまり大本家というつながり、戦国大名田村氏の一族であったとのこと。
三春田村氏の改易時に鷹巣に土着し、修験となり般若院を興し六代まで継ぎ、後に威徳院として明治に至るまで、神仏に仕えることになる。
現鷹巣村社の八雲神社は、明治政府による神仏分離令により、明治十年に正式に村社となりますが、その際、鷹林家と共に神官を拝命している。
尚、現在はありませんが、鷹林家は、江戸期を通じて鷹巣の村社であった大元帥明王の別当職であったと思われるとのことです。
さらに、驚いたことに橋本吉正様の御祖父様は、明治期に活躍した中村寛亭の弟子中村寛晃。
また、絵画繋がりですと、独特のタッチで仏画を描く画僧としても知られていた天台宗ハワイ開教総長、ハワイ、およびアメリカ本土で活躍しておられた故荒了寛様も、遠縁にあたります。
表紙の絵も実妹の岸波きい子氏の作画ということで、中村寛晃画伯のDNAがしっかりと受け継がれているんだと感じます。
主たる部分には、明治の初め頃に鷹巣の里人が俳句を嗜んだことを示す「鷹巣俳諧人名録」を中心に掲載され、当時の鷹巣の風雅な文化度の高さを示しています。
ここには鷹巣の先人たちの御尊名がその作品と共にずらりと記載されています。
この冊子は、鷹巣回顧という側面もございますが鷹巣の歴史をまとめられた第一級の貴重な資料です。
そして、橋本様が一冊の本にまとめられて出版された事、その労力を察するに尊敬の念をもって敬意を表したいと思います。
尚、橋本吉正様より、ご自身の著書である「田村の庄 鷹巣の里を辿る」をお預かりして、三春町図書館、三春中学校、中妻小学校、三春町歴史民俗資料館へ寄贈してまいりました。
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| ryuichi | 04:14 | comments (x) | trackback (x) | 🌸宇賀石 宇賀福神さま |
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