2020-11-13 Fri
「負けてらんに!」 蛙文字書家 渡辺弥七
ご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、先日、福島テレビの夕方の情報番組「福テレ・テレポートプラス」の八重樫アナウンサーが、新任地である福島県の市町村をお勉強するという番組「フクカツ」の取材・収録のために当三春昭進堂にご来店され、三春名物おたりまんじゅうの紹介や、饅頭つくり体験の模様が放送されました。
また、蛙文字書家の渡辺弥七さんから拝領した蛙文字で揮毫された、私の好きな矢沢永吉さんの言葉「前向きなうぬぼれ」の額を見て、蛙文字を習いたい~ということになり、弥七さんに当店にお越しいただき蛙文字を指南してもらうという場面も放送されました。
弥七さんは、今年87歳になるとおっしゃっていましたが、カメラが回り蛙文字を書き始めると、しなやかの中にも躍動感のある蛙たちが文字を作り上げ、その力強さを目の前で拝見し、そのパワーをいただきました。
自ら生み出した「蛙文字」や「蛙絵」を描きそして書き続けて50年余。
一文字の中にカエルが1~数匹で構成され、柔らかいカエルの骨格を念頭に文字を仕上げていきます。
くれぐれも蛙の手足が逆に曲がらないように~様々な角度の蛙たちが生き生きと描かれています。
この“蛙文字”を描くようになったのはお母様の入院がきっかけと伺いました。「早く良くなって病院から無事に帰る!」との思いを込めて蛙(帰る)文字で手紙をしたためたということです。
弥七さんは、昨年体調を崩され入院されましたが、まだ筆を置く訳にはいかないと退院したその年の秋(昨年の秋)に、三春町交流館「まほら」に於いて「渡辺弥七 蛙文字展」を開催されています。
その入口に掲げられた旗には「病気になっても、病人になるな」と揮毫されていました。また、会場に展示されてあった蛙文字・絵の「長獅子と御神輿の祭礼絵図」や「般若心経」は圧巻です。この展示会は退院後に開催されたので、“病気に負けてらんに!”との強い意気込みが感じられました。
下記は、その展覧会のプロフィールからです。
「母の急病、入院をきっかけに、ひょっこり生まれた私の蛙文字。
以来、いろいろな方に支えられ、育てて頂き乍ら、五十年を経ました。
“より楽しいもの”“より温かいもの”“優しいもの”をと願いつつ、誠実な蛙さん達の協力を得て、文字づくりの工夫を楽しんで参りました。しかし乍ら、近頃、歳のせいか、
気力、意力、発想カの衰えなど、自分でも歯癖いほどでオロオロするばかりです。
そこで、自らに「活」を入れる目的で、これまでの全仕事を見返す遺作展的なものを開くこととしました。
遺作展とちがうのは生きている当の私が、これを観るということにあります。
観れば当然、いろいろな感慨が湧きます。
反省、後悔の念も新たにするでしょう。
一方で、“こんな発想も出来た”“こんなことも出来た”“こんなことにも挑戦していた”など、自分を元気づける思いも生まれるかも知れません。
これらを綯(あざな)いまぜて新しい力とし、残り少ないこれからの人生を、蛙さん達と力をあわせ、もっと楽しい、もっと温かい、もっと優しい蛙文字を生み出せるよう努力を楽しみたいと思います。
歩けるだけ歩いていくつもりです。
もう少し成長したいから。」
弥七さんの人となりをそのまま文字で表した様な、洒落の利いた心強いお言葉ですので原文のまま掲載させていただきました。
二人の愛娘である安里さん(陶芸)、あずささん(イラスト、人形、陶芸)は、毎月第3金曜日には、三春城下中町・本陣本店さんの店先をお借りして、「ちょっくら市」という手仕事人たちによる小さなお店を開いて好評を博しています。
“母からはただのひと言でも愛を伴わない言葉はきかされたことはない”
アトリエ「蛙さんの家」内に掲げられてある言葉です。
蒼龍謹白 「With三春城下」 さすけねぇぞい三春! 拝
| ryuichi | 04:10 | comments (x) | trackback (x) | 🌸「塵壺」 三春昭進堂 |
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