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「丁度よい人生」



「丁度よい人生」

お前はお前で丁度よい

顔も体も名前も姓も

お前にそれは丁度よい

貧も富も親も子も

息子の嫁もその孫も

それはお前に丁度よい

幸も不幸もよろこびも

悲しみさえも丁度よい

歩いたお前の人生は

悪くもなければ良くもない

お前にとって丁度よい

地獄へ行こうと極楽へ行こうと

行ったところが丁度よい

うぬぼれる要もなく卑下する要もない

上もなければ下もない

死ぬ月日さえも丁度よい

佛様と二人連の人生

丁度よくないはずがない

南無阿弥陀佛 花押




和菓子屋の師匠 郡山市堂前町の 「御菓子 さかうち」社長の文字です。

心の響く文章です。

すべてのものをありのままに受け入れるという佛の教えが凝縮されているような詩です。


先日、和菓子、そして商人としての師匠である郡山市堂前の和菓子屋「坂内菓子舗」

その息子さんである専務がなくなりました。
まだ数えで63歳でした。
心よりお悔やみ申し上げたいと思います。

今から30年前の、修業時代を思い出しています。

専務の立ち振る舞いや、師匠との関係を見ていますと、幕末の幕臣勝海舟とその父勝子吉を描いた最高傑作である子母澤寛著「勝海舟」や「親子鷹」を連想しています。

勝子吉のように天真爛漫で義理人情に篤い師匠、そして冷静沈着のようで実は親譲りの義理堅さを持った専務でした。


この親子の掛け合いが素晴らしいんです。

親子での商売繁盛の秘訣を見させていただきました。

専務は、早稲田大学商学部卒の専務は、本が好きで何でも知っていました。
「本当は新聞記者になりたかったんだ」と冗談交じりで話してくれたことがありますが、まんざら嘘ではなかったんだろうと思います。

本屋さんよりも本に詳しくて、本や歴史上に人物などの私のつたない疑問にも的確に答えてくれました。
当店の長男に兼続と名付けました。
そうです、天地人の主人公直江山城守兼続からいただきました。
藤沢周平の「密謀」に描かれたこの直江山城守兼続を教えていただいたのも専務でした。


また、ラーメンが好きで、郡山に新しいラーメン屋ができると必ず下調べに自分で食べてみておいしい店だけを誘ってくれました。

上記の詩「丁度いい人生」も、専務が眠る茶の間に掲げてあったものです。

「いい文句だべ!」と師匠見せていただきましたが、読み進むうち涙が止まらなくなってしまいました。

心よりお悔やみ申し上げます。


春陽郷三春城下 御菓子三春昭進堂

| ryuichi | 05:10 | comments (x) | trackback (x) | 🌸菓匠蒼龍 心洗洞刹記::三春昭進堂雑記 |