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平成版三春城下怪奇奇談「観音堂の遺書」
観音堂の遺書

恨みを残して死んだ人間の怨念ほど怖いものはないと度々思います。
感情と言ってもいろいろありますが、怨念こそ人間の深い業に一番起因している感情ではないでしょうか。
恨み、怒り、嫉妬と言った感情が怨念に変化する時、人間の持つ底知れぬ恐ろしさを感じてしまいます。

三春城下に伝わる古い話です。
材木問屋に、体の弱い和助という一人息子が居ました。

和助に、いつの頃からか近所に住む次一と呼ばれる男がまとわりつくようになりました。酒癖が悪く、遊ぶ金ほしさに強請やたかり、さらに付け火するなど城下では評判の男でした。

次一は、遊ぶ金ほしさに目をつけたのが和助で、人のいいことを良いことに、金品を巻きあげていました。
それに気づいた材木屋のおかみは、息子近づけまいと次一を遠ざけていました。

しかし、ずる賢い野良犬のように次一は、女将の目を盗んでは、「悩みを聴くから」「嫁を世話するから」と言葉巧みに再び和助に近づき、連れだしては、飲み屋にある自分の借金も払わるなど、度々銭をむしり取り、遊び金に使っていました。

周囲の者も、二人のことは知っては居ましたが、次一に関わるのが嫌で見て見ぬふりです。
それに落胆の差した和助は、救いを求めてはお寺の和尚さんに相談に行くようになりましたが、世をはかなんで、遺書をお寺に預け首をくくってしまいました。

遺書には、次一からの仕打ちがしたためられ、現世では怖くて出来ないが、死んで怨霊に変化して恨みをはらすと言うことが書かれていたそうです。

葬式の日、何食わぬ顔でお寺に現れた典次をみた母親は、発狂し息子を亡くした悲しみと相まって病にかかり、程なく亡くなったそうです。

後に、次一には、父親の変死や母親の失明、子供の発狂など次々と災難がつきまとうようになり、自らも狂い死にしてしまいました。

 現在でも、この遺書は、母親が和助供養のために、お寺の境内に建立した観音堂に納められています。

憎しみに燃えた執念ほど恐ろしいものはありません。
その人間は、恨み故にそのかたきを殺し、それにも満足せずにその子孫を次々と殺し尽くし、ついにかたきを根絶やしにしてしまいます。
しかし、そこまでしても、憎悪の炎は消えるどころか、怨念となってますます激しく燃え盛る一方で、ついには恐ろしい鬼の姿に成り果ててしまいます。

鬼になった怨霊は、自らの呪われた運命をしきりに泣いて悔いるが、いつまでも消えることがない怨念ゆえに、永久に生き続けていかねばならないといわれますが、死ねば生まれ変わることも出来るが、それすらも出来ないのでしょう。


| ryuichi | 22:13 | comments (x) | trackback (x) | 平成版三春怪奇伝説::三春城下夜話 |