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塵壺361号  「盆踊り」 大正ロマン竹久夢二と助川啓四郎氏  令和3年8月発行  



塵壺361号 令和3年8月発行
 
  「盆踊り」 大正ロマン竹久夢二と助川啓四郎氏 


~ 待てど暮らせど来ぬ人を 宵待草のやるせなさ 今宵は月も出ぬそうな ~♪



江戸時代より300年以上続いている三春城下の夏を彩る「三春盆踊り」は、昨年に引き続き今年も新型コロナウイルス拡散防止の観点から中止となっています。

時は大正、『宵待草』などで大正ロマンの雰囲気が漂う美人画を描いたことで知られる画家竹久夢二は、片曽根村出身で船引町長や県会議員、衆議院議員、農林参与官等を歴任した助川啓四郎氏との縁で「画会」開催等で船引町をたびたび訪れています。





夢二と啓四郎氏との出会いは、啓四郎氏の母校早稲田大学校時代にさかのぼります。

当時、歌人で女子教育の先覚者下田歌子が主催する「大日本少女会」などの活動をきっかけに知り合い親交を深め青春時代をともに過ごしたと言われています。

早稲田大学を卒業後、片曽根村長、船引町長から代議士となった啓四郎氏は、夢二のために福島県内各地で画会を主催。さらに、夢二の作品を載せるために雑誌を発行するなど、助川氏の財力や人脈を使って芸術活動を後援しています。







現在、船引町にある田村市図書館では、夢二に関する資料を所蔵し「竹久夢二ルーム」を設けて夢二の作品や資料を展示しています。


夢二は、啓四郎の計らいにより船引町以外にも、会津東山温泉や、福島飯坂温泉、いわき常磐湯本温泉など福島県内の各地に滞在し、多くの作品を残しています。

三春町大町に在った川北旅館に一か月ほど滞在して「画会」を開いた際には、北野神社前の道路で行われた盆踊りに夢二が女装して踊ったという逸話もあり、「盆おどり」(大正10年)と題された絵も残っています。



(三春町史より)


三春城下に秋の気配が漂いはじめた大正10年8月27日、東京小石川下富坂町の川端画学校(川端玉章創設の画塾)に通う半五郎少年は、夏休みで郷里である三春に帰省していた。

「川北旅館に竹久夢二という有名な絵描きさんが来ているよ」と母親に教えられた少年は、自分の描いた絵を持って夢二を訪ねた。
一時間ほど隣室で待たされたものの、長髪にナイトキャップをかぶった夢二は少年を画室に招き入れてくれた。










ぼそぼそと話す夢二。少年の絵については何も語らなかった。
長居は失礼、と立ち上がった少年に夢二は声をかけた。

「三春の盆踊りができたら教えてくれ給え」。

突飛な要望に驚いたものの、少年は盆踊りを夢二の前で踊った。

微笑しながら夢二はその姿をスケッチした。

その夜、三春城下北町の北野神社前で行われた恒例の盆踊りの輪の中に、芸者から借りた着物、編笠、青手甲腰巻、白足袋に、おしろいまで塗って踊りまくる夢二の姿があった。
半五郎少年と川北旅館の番頭 ·白石作三(カエル文字書家渡辺弥七さんの奥様の父)そして三、四人の芸者が同行した。







※半五郎少年とは、画家及び美術通信教育などで活躍した磐前半五路(半五郎は本名)。

このエピソードは磐前の著作『随筆、はだかの採点』に所収されている「夢二と盆踊り」、そして玄葉与光著『夢二と福島』を元に紹介したと参照した資料にありました。

後に、助川啓四郎氏は、昭和18年10月、農政通の帝国議会の衆議院議員として満洲に於ける食料事情視察の為の渡満途上、関釜連絡船「崑崙丸」(下関から朝鮮半島釜山の間を運航していた鉄道連絡船)に乗船していた際、朝鮮海峡沖ノ島北東10海里付近の海域にてアメリカ海軍潜水艦「ワフー」の魚雷攻撃を受けて沈没し多数の一般人の乗船者と共に犠牲となっています。

啓四郎氏という理解者(支援者)が居て、益々夢二は画家、詩歌・小説の執筆や、広告デザイン等活動の場を広げマルチに活躍します。

福島との縁も深く刻まれ、現在を生きる私たちに夢と喜びを与えてくれた田村縁となる二人の大先輩に畏敬の念を禁じ得ません。


蒼龍謹白  疫病退散祈願  さすけねぇぞい三春!  拝






三春城下の情報です。



BS朝日「百年名家~築100年の家を訪ねる旅~」。
毎週日曜の昼12:00〜12:55にBS朝日で放送中

出演は八嶋智人と牧瀬里穂、提供:住友林業

次回、令和3年8月22日(日)は、三春城下大町紫雲寺下旧吉田邸(現三春町文化伝承館)を取り上げています。


「百年名家」とは百年以上の歴史を持つ家屋で人々が暮らしている家のこと。人々の営みを支えてきた家屋には、暮らしを彩る様々な工夫があります。






| ryuichi | 04:24 | comments (x) | trackback (x) | 「塵壺」 三春昭進堂 |