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塵壺373号「自由民権運動資料と幻の{三陽雑誌}~三春町史編纂秘話」令和4年8月



塵壺373号「自由民権運動資料と幻の{三陽雑誌}~三春町史編纂秘話」令和4年8月10日発行

  自由民権運動資料と幻の「三陽雑誌」~三春町史編纂秘話

『塵壷』に歴史に係る原稿を掲載する場合には、私にとって“三春町史”が一番大切な参考書です。

索引も入れて全11巻からの町史は他に類を見ない規模で、昭和48年度から始まったこの事業は昭和61年の最終発刊まで約15年を費やし、その資料調査は、北は青森県浪岡町から、南は和歌山県新宮市と高知県高知市までに及んでいます。


その編纂業務が資料調査をはじめいかに大変なものだったかを、当時の事務局員であった大先輩の田中金弥さんに聞く機会がありました。


自由民権運動の執筆者は、故高橋哲夫氏(私の大伯父)で、田中さんと二人で48年の夏に東京の国会図書館など、そして翌年の夏には高知県立図書館などで資料調査を行っています。

当時は、今のような高性能のコピー機もなく、高橋先生から指示のあった個所は、すべてカメラによる接写であり、失敗は許されません。そのため田中さんにとっては、帰町してからフィルム現像が終わるまで心配でならなかったそうです。

初めての国会図書館での資料調査は『河野文書』が主目的だったそうで、その結果“戊辰戦争の際、会津攻めの途中で土佐藩家老の板垣退助が三春の春田橋で河野広中らと会談している”という新たな発見もあったりしましたが、すべてが緊張の連続だったそうです。

 高知での調査を終え、帰路の新幹線の中で田中さんが「先生。資料はどのようにして見つけるのですか?」と尋ねると、「君にはまだ分からないだろうが、真剣に研究を続けていると、不思議なくらい資料のほうからお呼びがかかるのだよ」という思いもかけない答えが返ってきたと話されていました。



 その時は「そんなことはない!」と思っていたそうですが、この言葉が現実となったのは、それから33年後の2007年11月のことで、その年には、70年以上に及ぶ自由民権運動に関する高橋先生の資料すべてが、三春町に寄贈されることになりました。


田中さんはその当時、議会事務局に籍を置き退職間近でしたが、先生宅で寄贈資料の整理のお手伝いを続けていました。

そんなある日、田中さんの友人である仙台市の博物館長の佐藤憲一氏から特別展に招かれ出かけて行きました。

観覧が終わり、館長室で歓談していたとき、信じられない『奇跡』が起こったそうです。

佐藤氏は席を立ち、自分の机の引き出しから古びた冊子を出し「金弥さん。三春にはこの冊子はあるんでしょう?」と尋ねられます。

その冊子を見た田中さんは自分の目を疑ったそうです。

それは何と、幻の雑誌と言われていた三春出身の河野廣中が主催する三春町にあった政治結社「三師社・正道館」が独自で発刊した自由民権運動にかかわる「三陽雑誌」全四巻すべてでした。





東京大学などに一部はあったものの、高橋先生の長年の心血を注いだ調査でさえも全四巻揃っては見つからなかった代物です。

高橋先生の資料が三春町に寄贈されることに理解を示された佐藤氏は「金弥さんにあげるから自由に使ってください」と話されたそうです。


田中さんは、すぐにその場で電話を借りて高橋先生のお宅に連絡をしてそのいきさつを報告したとの事です。


高橋先生も大喜びで、“三陽雑誌”も先生の資料と一緒に三春町に寄贈されることとなった、ということでした。

まさにこのことは、先生が話された「資料のほうからお呼びがかかる」という実体験だという話をしてくれました。






じっくりしっかりと事を行っていれば「吉報が向こうから来ることもある」ということも、私も実体験も重なって最近になって感じ始めています。

この三春町史編纂の陰には沢山の方々の努力とご協力があったことと思います。

さらに、全11巻という町史を発行する三春町の心意気に賛同され、編纂に携わった方々には、監修者も兼務した大竹正三郎氏はじめ、高橋哲夫氏・新田勝彦氏・大沢貞一郎氏・田中正能氏・菅野与氏・大内寛隆氏・田母野公彦氏・遠藤清一氏・渡辺康芳氏・川又恒一氏・渡辺義久氏など三春出身、そして、三春にご縁のある方々が多かったことは、我がふるさと三春町の誇りであると思っております。


     蒼龍謹白  さすけねぇぞい三春! 拝



三春城下真照寺参道 御菓子三春昭進堂菓匠蒼龍


| ryuichi | 03:41 | comments (x) | trackback (x) | 「塵壺」 三春昭進堂 |