2023-05-26 Fri
KFB福島放送「シェア」三春「紫雲閣&山惣」 2023.5.24
三春担当 三春昭進堂菓匠蒼龍 代表 髙橋龍一
出演:髙橋龍一・深谷悠大
・神晃(神設備代表)
・吉村剛(吉村管工所代表)・
・三春町歴史民俗資料館:館長 平田禎文(ヒラタ サダフミ)
・菊地住建:社長 菊地和裕(キクチ カズヒロ)
・みはる味処「山惣」専務・スタッフ
TEL:0247-62-0166 三春町字北町9
営/11:00~14:00、17:00~22:00 4~16人(現在)まで 完全予約制
休/月曜 ※4月(桜祭り期間)のランチは予約なし・無休
・オープニング・紫雲寺山門 龍一・悠大 本日紹介する紫雲閣
「紫雲閣」 旧吉田誠次郎亭別邸 蔵座敷
蔵座敷「紫雲閣」は、明治時代の商人吉田誠次郎氏が遺した邸宅で現在三春町へ寄贈されて三春町文化伝承館として継承されています。
吉田誠次郎は、三春郷駒板村 (現郡山市中田町駒板) の吉田常三郎の次男として生まれ、三春城下中町の商人「釜屋」宗像善吾の次女と結婚して養子となりました。
釜屋善吾は三春生糸「三春駒」の商標を取得して東京や横浜で生糸商を営み、誠次郎は横浜営業所長として奮闘。明治28年にはのれん分けして分家・独立し、益々生糸問屋として
商いを拡げながら、取引先の外国人向けに錦絵や書画そして骨董の販売を行い、さらに金融業に手を拡げて1代で財を築きました。
分家を機に三春城下に於いて居宅を構えその折に隣接する紫雲寺に由来したとされる、「紫雲閣」も建てられました。
三春の商人の蔵は城下町だけあってちょっと独特な配置があります。
商人の力量である「財産」を自慢するように表通りに面して建てるのではなく、武士階級に遠慮して店舗・屋敷の裏手に建造していましたが、明治になってもそれは変わりありませ
ん。
この「紫雲閣」もその通りで、表通りから一本奥に入った紫雲寺参道にある自宅の一番奥まった場所に建ててあります。
その外観は普通の蔵ですが、内部には龍が随所に施され、唐風の間や最高級の材料を惜しげもなく使った茶室等、装飾や部材等々目を奪わんばかりの贅を尽くした造りとなっています。
また、隣接する紫雲寺の桜や城下を借景とした各部屋からの眺めなど外からは想像することが出来ない趣向となっており近代日本創成期の経済界をリードした豪気な三春商人の経済・文化の交流を考察しながら、粋な遊び心を垣間見ることが出来ますね・・
その邸宅は文明開化に沸き立つ東京、そして、海外貿易の本場横浜で商いをする中で養ったと思われる独特な趣向で構成されています。
紫雲閣2階にある唐風の“漆ノ間(紫雲ノ間)”には床柱に色彩豊かな“龍”が絡みついた立体的な装飾が施されるなど異彩を放った感性で訪れた者を魅了します。
黒く節目の入った薩摩杉の天井板や、桐の一枚板の透かし彫り入りの欄間に、棕櫚・楓・鉄刀木・柿・黒柿・栗・紫檀・黒壇・欅・櫟・杉と様々な銘木と称される部材を用いて組み上げた床柱・床框・梁部等々・・・外観の蔵と内部が別々の構造を成していて、部材ありきで各座敷の設えを整えていった感が随所に見受けられます。
各所に“龍”のモチーフが多く見られ、名前に龍の付く私にはとても居心地の好い建物です。
これらの部材も当時福島県で開催されたという全国産業博覧会「共進会」で調達して無理やり設えた様にも見受けられます。
蔵が先に在って(曳家をして移動した形跡有)、調達した装飾の部材を生かすように内部を1階部分から創り上げていく・・・
正に、大工、左官、建具屋、漆塗師、そして、建主である誠次郎氏の見識と情熱が作り上げた豪華絢爛な遊び心がいっぱい詰まった建物です。
幕末、戊辰戦争では三春藩は御城下に暮らす民の生命と財産を戦火から護るために戦場となって焦土と化すことを避けようと戦を回避しました。
その土壌があり明治以降には三春の商人は総合商社として福島県経済を引率するリーダーとして活躍しています。
さらに、三春商人は海外貿易の拠点東京横浜に乗り出します。
新開港地「横浜」はまさに国内外の貿易商人の活躍する舞台であり、なかでも、日本の主貿易品目である金や絹を扱う不平等条約のしこりが残る中で居留外国商人と取引していた
日本・三春の商人は、激しい盛衰を繰り返し、その動乱期を生き抜いた少数の貿易商は、短期間に莫大な富を築いていきました。
さあ、「紫雲閣」探訪はこの辺りにして、蔵繋がりで城下北町にある現代の蔵座敷、みはる味処「山惣」三春の郷土料理と地酒三春駒で一献!
蒼龍謹白 三春に来ねぇげ! 拝
・工事の説明・菊地住建 社長
紫雲閣は、元々あった蔵の内部を、座敷として改築されており、当時の吉田誠治郎の遊び心と匠の技がふんだんに盛り込まれております。
現代では見られない 不思議で魅力のある建物となっておりました。
建てられた当時の状態に復元・修復するため、今回の工事では、 垂直に曳家を用いて 基礎工事と柱や耐震の構造の補強の内容で工事が進められました。
当初の工事内容で開始しましたが、柱・胴差まで腐朽していたため1階部分はほぼ解体となり、すべて柱と一部の胴差の交換となり、その都度変更しながらの改修工事となりました。
また、生かせる構造材は、 元に復元し、腐朽している構造材は新たな木材に交換しました。
銘木も数多く使用されていたので、現代ではなかなか手に入らない銘木もあり、 資材調達は大変でした。
そして、 蔵の外回りの修復として、漆喰やなまこ壁も新たに復元をしました。
現代では、 なまこ壁を工事出来る職人も少なく、今回の左官工事では、白河や会津からご足労いただき施工が進められました。
改修工事の間、ご協力いただきました事業所様、並びに現地で職にあたっていただいた 匠の皆様のご理解とご協力により、見事に工期内に完成し、令和5年4/9再オープンすることが出来ました。
※古い文化財を保存・継承していくためには、費用が必要なことから、下記の通り、同じく大町にある蔵座敷を利用した三春郷土人形館と共通で入館料をいただくことになりました。なお、旧吉田家住宅主屋(文化伝承館)は、従来通り無料でご覧いただけます。
・山惣 蔵座敷(蔵繋がり)・・・・・龍一・吉村・神・菊地
「みはる味処 山惣」は蔵を改築した三春町の郷土料理の店
こちらも三春の豪商の蔵を改築した風情たっぷりの和食処。
レトロな雰囲気の中で、明治の商人になったつもりで郷土料理を堪能!
カンパーイ!
味処 山惣 客席数16 三春町字北町9-2
営業時間 予約のみ4名様以上16人まで
※桜の開花シーズンは、ランチ営業もあります
・〆は龍一・悠大でシェア!
| ryuichi | 03:43 | comments (x) | trackback (x) | 菓匠蒼龍 焦心録::テレビで紹介されました。 |
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