2024-11-09 Sat
三春町文化財保存活用地域計画策定協議会 第3回紙面会議意見書 委員 髙橋龍一
「文化財保護法改正」により、市町の文化財の保存・活用に関する法定計画として「三春町文化財保存活用地域計画」策定協議会を国の文化審議会へ申請しその答申を経て文化庁の認定(国の認定を申請)を目指し、さらに、認定後は本計画に基づき、三春町の文化財の保存・活用についてさらなる取り組みを推進すると承知しています。
現時点の三春町文化財保存活用地域計画策定協議会は前記の文化庁へ申請・答申へ向けての計画策定で、今回のアンケートについては町民の方々の文化財全般に対する意識を広く集めるとともに再認識を促すいい機会であると考えます。
その上で、策定した当該の文化財保存活用地域計画の認定は、少子高齢化の進行による文化財の散逸や衰退を防ぐため、地域社会全体で文化財を継承できるよう、活動主体を確保する取組みを推進し、文化財の保存・活用を目指すものだと思います。
三春の観光資源としての文化財は、旧町・三春城下だけのあるのではなく、それぞれの地域に存在しています。
歴史的な史実はもちろん、それらに付随する信仰・歳時、寺社仏閣や石碑、さらには郷土芸能や風習、そして、地域に伝わる伝承、昔話、伝記、民話、あるいは、方言などたくさんの三春独特の文化財(文化)があります。
本事業は、それらを今一度、現代の表舞台に現して、ストーリー付けするいい機会だと考えるとともに、町内に存在する有形・無形の文化財の調査、記録を重ねて、先人が残した市民共通の財産として地域の皆さんと共に後世に伝えていかなければならない時期ではないでしょうか・・・
広義的な文化財の継承者という意味での時間的な制約の中で、今すぐにでも始めなければという事案もあります。
三春に点在する文化財を“点”として捉えるのではなく、戦国期から近世までの田村領・旧三春藩領、田村庄、小野保など、地域一帯で“面”として捉えれば史跡も神社も伝統芸能も、いずれも地域社会が支えてきたものであり、歴史的な背景をもとに相互に結びついており、これらの文化財を時系列的に様々な時代に於いて連携させてストーリー仕立てにして保存・活用し、田村地方の歴史や文化を改めて再構築することによって、田村エリアをアピールしやすくなると考えます。
さらには、歴史の宝庫である小さな城下町「三春」独特・独自の文化財などの保存・活用を通じて、まちづくりや観光振興など、観光協会や商工会、あるいは個々の会社の事業化につながる方法を探りたいと考えます。
昨今、重要文化財、史跡や名勝、天然記念物のほか、重要無形文化財など、多岐にわたる貴重な文化財は、文化財保護法のもとで行政や地域、あるいは個人で守られてきました。
しかし、実はこれらの文化財の所有者の中には、維持・管理が厳しくなり、それを負担だと感じるケースもあるということも聞こえてきます。
寺社などの建造物の所有者は、その維持や管理に多額の費用がかかります。また、相続の際は税負担も発生する事案もあります。
そして、文化財に指定されると税制上の優遇措置や、保存修理の費用の若干の補助を受けることが可能となりますが、同時に現状変更が許可制になるなどの制約も発生します。
このバランスは難しく、若干の費用のために制約の方をより負担だと考えて、文化財指定を受けないという選択も少なくありません。
また、これらの負担から「町に寄付したい・町で何とかして~」という要望も少なくないと聞き及んでいます。しかし、町は一定の補助は出せても、町が所有する文化財が増えると、維持・管理を賄いきれなくなります。
しかし、過度な補助金への依存体質が、地域の魅力の喪失、低迷の一因であることは、多くの従来型文化財保有エリア・観光地に共通しています。
今後の地域の再生には、まずこのような体質からの脱却が不可欠です。
そのためには、地域がより主体的に取り組むことがこれまで以上に重要になります。
また、「お金をかければいいものができる」時代ではありません。そして、魅力ある町・観光地をつくることも、従来のような行政や一部の観光事業者が関わるだけでは難しく、地域本来の魅力が旅行者に伝えられない時代になってきました。
小さな城下町「三春」は、大型の観光バスで大勢の人がワンサカ来るような場所ではありません。歩いて楽しむまちであり、駐車場に車をとめて、まちの中を歩きまわってはじめてその魅力を肌で感じ、十分に味わうことができる小さな城下町です。
きれいに整備され街並、一方昔懐かしい町並みの面影が残る、単に歴史や文化が感じられるというだけでなく、生活のにおいがする魅力的な小さな城下町。
地元の人々が居住し生活する場であり、近郷近在よりの買物のお客さまが出入りする場であり、さらに近年は 春、桜の時期だけではなく四季を通じて観光のお客様が訪れる魅力的な城下町でもあります。
城下の道は、城下町のなごりで、道路は狭くて複雑であるため、生活に不便な点もありますが、御城坂 北町の坂や桜谷、天狗谷、谷間が多く、道が狭いことがかえってこの街の魅力を高めています。
北国の小さな城下町三春は、城下にこそ魅力があると思います。
城下の隅々を歩く 裏道の路地をぬけ、桜川や裏道の小さな公園にあるベンチでくつろぐ。また、郊外では、稲穂 田園風景や道端の地蔵さんや石碑で心が和む、そして地元の人々とのふれあうなかに本当の魅力を発見します。
このような三春らしさを失わず、小さな観光地として持続させていくためには、過剰な投資をせず、「身の丈に合った地域経営」が必要です。そのためには、官民が役割分担のもとに協働し、知恵と創意工夫で魅力を創り出す体制づくりが望まれます。
三春の歴史文化、歳時、産業などの再確認や連携によって、総合的な三春・田村地域の魅力、地域らしさに結びつけていくことが重要であり、「観光」と「まちづくり」を連携させながら、一体的に取り組んでいく必要があると考えています。
| ryuichi | 03:37 | comments (x) | trackback (x) | 🌸三春昭進堂菓匠蒼龍 |
TOP PAGE △