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「越中富山の薬売り」 富山藩主と三春藩主  塵壺398号



塵壺398号  「越中富山の薬売り」 富山藩主と三春藩主


先日、公私ともにお世話になっている配置薬の有限会社「サンサン」(郡山市)社長の佐久間喜重様(三春町沢石出身)が、春の叙勲で「旭日双光章」を受賞され、その祝賀会にお招きを受けましたのでお祝いを言上したく喜んで出席しました。

その祝宴の席で、佐久間さんの配慮で富山にある有名な製薬会社の会長さんや、医療・薬科の業界新聞社の元主幹、そして、宮城県の配置薬協会の会長さんなどと同席となりました。

薬、配置薬、富山、三春と云えば、「越中富山の薬売り」の起源となった富山藩主と三春藩主の逸話が伝わっており、早速、歴史談義となり歴史好きの私にとって大変有意義な時間を過ごさせていただきました。







元禄3年(1690)歳暮、富山藩2代目藩主前田正甫(まえだ まさとし)公が参勤交代で江戸城に登城の際に、伺候席(控之間)“帝鑑之間(柳之間?)”にいた譜代格(当時)大名三春藩主3代秋田輝季公(当年40才)が腹痛を起こし、そこに居合わせた正甫公が印籠から『反魂旦』(はんごんたん)を取りだし服用させたところたちまち平癒します。
正甫公自身も元来体が病弱だったようで、薬に対する興味が強かったと伝わっています。

そこで、自ら全国の薬を調べた結果、備前岡山藩の藩医・万代常閑(もずじょうかん)がつくった“反魂丹”(はんごんたん)という何にでも(特に腹痛に)効く薬を調合してもらい、肌身離さず持ち歩いていたそうです。

そのやり取りを見ていた諸国の藩主たちは、その薬効に驚き、各自の領内で『反魂旦』を売り広めてくれるように、各々薬売り道中手形の発行を約して前田公に頼みます。


以来、富山藩は備前岡山藩から藩医万代常閑を招いて城下の御用達薬商人松井屋源右衛門に命じ反魂丹を作らせます。

さらに、領地から出て全国どこでも商売ができる前田公裏書の『他領商売勝手』を発布して「殖産興業」の政策として、富山を寄港地とする北前船を駆使して全国津々浦々に至るまで薬売りの販路拡大を整備して「売薬産業」を奨励しました。








一方の三春藩主3代秋田輝季公は、晩年まで精力的に領国経営・大名賦役を勤めます。

大坂城加番勤務として江戸幕府内では譜代格大名に再任され、遠州吉田大橋(静岡県)の大改修などを請け負います。

また、領内整備では、真照寺山内古四王堂再建、藩社神明宮(三春大神宮)の遷宮、領内総鎮守太元帥明王社(田村大元神社)へ大般若経六百巻を奉献、そして、新田開発の水源として南原之大池の整備など藩運営をしています。


さらに、領内の馬産に力を注ぎ、仙台より良馬を購入して殖産に努め良質な農耕馬の産地として事業を推進し、後にこの駿馬が「三春駒」として全国に名を馳せるようになります。

このようにして藩財政の発展を遂げ、三春藩主歴代最高齢の72歳で生涯を閉じます。

尚、江戸期より明治初頭にかけて伊勢神宮参拝のお土産として名高い万能薬「秋田候教方萬金丹」は、三春初代藩主俊季公の実父秋田實季候直伝によると伝えられています。


「越中富山の反魂丹(はんごんたん)♬鼻くそ丸めて萬金丹(まんきんたん)♪」と童唄でも親しまれ、「越中富山の反魂丹」と並んで全国的に有名な伝統薬でもあったことを追記しておきます。


さて、話を越中富山の薬売りに戻します。

この配置販売業が今日まで営々と受け継がれてきたのは薬の効き目はもちろんですが「先用後利」という独自の販売システムのお陰ともいえます。

急に発病する病のために薬を数種類も常備しておくことは困難でしたが、先に常備薬として預け、次回訪問時に使用した分の代金だけを支払うという信用商法であったため利便性が高く、全国の人々に広く受け入れられました。





 



また、何代にも亘る家族構成や使用する薬などのデータを書き記した「懸場帳」を基に、そのお得意先に適した薬の配置が出来るとともに、使用歴に応じて健康アドバイスする専属の薬剤師さんの役割も担っていました。

今回、越中富山の薬売り関係の方々から配置薬の話を拝聴して、どの商売にも生かせるマーケティングの原型がそこにあるということをご教示いただきました。



  蒼龍謹白 さすけねぇぞい三春!  拝



当三春昭進堂のホームページの表示が時々文字化けするようになっています。

更新ボタンを押して再表示していただくと直るんですが、この不具合はホームページの制作ソフトのシステムが古くて今のシステムに会っていないのが原因です。

現在、新しいシステムに移行する作業を進めているところです。

お客さまにはご不便をおかけしますが、もうしばらお待ちくださいますようお願い申し上げます。



| ryuichi | 20:46 | comments (x) | trackback (x) | 🌸春陽郷三春藩始末記 秋田氏五万石雑記 |