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塵壺405号 御春輩「田村庄司の乱」北関東騒乱 田村氏と小山氏  令和7年4月号




  御春輩「田村庄司の乱」 北関東騒乱 田村氏と小山氏

母の里は、本宮市本宮町太郎丸の和菓子屋「小山(こやま)」です。

 曾祖父から以前の古い戸籍を見ると新潟県旧寺尾村(現新潟市西区寺尾)となっています。

 母方からは、新潟や長岡付近の小山(こやま)氏は関東八屋形の国人で、下野国(現栃木県小山市)守護職の小山(おやま)氏の一族郎党の末裔だと代々伝わったと聞き及んでいました。



小山氏の先祖は室町幕府の鎌倉府と戦った「小山の乱」で敗北しますが、当主の小山若犬丸は、田村郡(守山城もしくは日和田八丁目?)を本拠地とする田村庄司の田村氏(以下、田村庄司氏と記載)を頼って再起を図り「田村庄司の乱」が起こります。しかし田村庄司氏が敗北してしまい、若犬丸は菩提寺の和尚の縁で会津蘆名氏を頼って再起を期しますが討たれ、会津まで同行した小山氏一族郎党は各地へ落ち延びます。


その内の一派は、新潟へ落ち延び、小山氏は“戦で負けた”小山の呼称を“おやま”から“こやま”へ変更したと聞き及んでいました。

「小山の乱(小山義政の乱)」とは、室町幕府の第3代将軍足利義満の頃、下野守護小山義政が、鎌倉府足利氏満(鎌倉公方)に対して起こした反乱で、約17年にわたって戦いが繰り広げられた結果、小山氏の嫡流は滅亡しましたが、嫡男の若犬丸は同じく鎌倉府に不満を持つ田村庄司氏の元へ逃れ先の「田村庄司の乱」へと発展します。



 この「田村庄司の乱」は、田村荘の庄司(管理官)である“御春輩”田村庄司氏(後の三春田村氏と区別するために田村庄司氏と記載)が、室町時代初期の南北朝の争乱(1336~1392)では、室町幕府(政所)や鎌倉府である鎌倉公方や関東管領の治世に屈服せず、戦略的な利害関係から南朝方として鎌倉府の白河結城氏と長年に亘って小競り合いが続いていました。




室町幕府の東国出先機関である鎌倉府は、服従しない田村庄司氏を「田村退治」として攻略すべく、結城氏経由で無理難題を押し付けてきます。

応永元年(1394年)鶴岡八幡宮造営のための段銭徴収を田村荘へ命じたことや、探題的な立ち位置の白河結城氏が鎌倉府の指揮下に移されるにあたり、鎌倉府から御料所として所領の進上が要求されますが、結城氏はその役料を自身の所領からではなく田村荘からの徴収しようとしたことへの不満もあって、田村庄司氏と御春輩は一斉に蜂起します。
田村庄司氏は、鎌倉府(当時は古川公方)のある関東出陣の大将として小山若犬丸(隆政)はじめ、新田貞義の三男義宗の子新田相模守(脇屋義則か?)、従弟の刑部少輔など南朝の残党らとともに鎌倉府攻略のため白河へ出陣、さらに北朝方鎌倉府の差配に不満を抱く旧南朝方の東国(上州や武州)の諸将も田村氏の下へ馳せ参じ、一大勢力とな
って結城氏を中心とした鎌倉府配下の軍勢と対峙します。



「田村庄司の乱」に対して、陸奥国の管轄権を室町幕府(征夷大将軍政所)から移譲されたばかりの鎌倉府の足利氏満(古川公方)が、北朝方の東国十一ケ国の国人に出陣を命じて、自らが兵を率いて出陣して結城氏の舘に入ります。



この鎌倉府によって動員された兵力の前に、一定の戦略的効果を得た田村庄司氏は、今後の形勢を鑑みて兵を納め、それぞれの領地へ帰還します。

 これによって田村庄司氏は一時的に衰退し、田村荘は鎌倉府の御料所となって結城氏がその代官として在地支配を広げます。


後の応永六年(1399)、不満を募らせる御春輩を中心とする南奥諸将の支配・監視するために、鎌倉府政所から安積郡へ足利満直(篠川公方)、そして岩瀬郡には満直の弟足利満貞(稲村公方)が派遣され、仙道(現在の福島県中通り周辺)の国人諸将が、応永十一年に取り交わした「仙道国人一揆契状」から見ますと、仙道の諸将は篠川、稲村両公方の権威をもとに鎌倉府の差配を受けていたことが窺えます。


時代は下がり、田村庄司田村氏の基盤を継いだ田村直顕(三春田村氏初代義顕の祖父)は、宝徳3年(1451年)から記録に見え、結城氏のもとで代官的な役割をつとめるとともに、娘を結城直朝の孫顕頼に嫁がせるなど田村庄での足場を固め、結城氏の内紛によって没落し、後に田村氏は三春へ拠点を移して戦国大名へ発展し戦国乱世を走り続けます。



      蒼龍謹白  さすけねぇぞい三春  拝

| ryuichi | 03:17 | comments (x) | trackback (x) | 🌸「塵壺」 三春昭進堂 |