2009-01-16 Fri
「親方の教え」 塵壷205号より
一月に及ぶ外装工事が終了しました。三十年来の垢落としを済ませ、三春昭進堂の新しい顔のお披露目です。工事中は、お客様やご近所の皆様には大変ご不便をお掛けしたこと、紙面を借りてお詫申し上げます。
新しい店は、おたりまんじゅうの「餡」と「皮」をイメージした色合いにと松井塗装さんと試行錯誤しながら決め、ずいぶんお手数を掛けてしまいました。
現場の監督に、親方(社長)が現れると現場の空気がピンと張り詰めるのが、外からでも判ります。
親方は、顔も恐いのですが、仕事に対して大変厳しい方で、妥協を許しません。二人の息子さんや弟子にペンキ屋の「いろは」を厳しく指導していきます。
また、予算があるなしに関らず、サビ落とし等の下地処理に重点を置き、高価な塗料で二度三度塗りは当たり前で、当店などは、四度五度と「塗り」を施工していただきました。
打ち合わせの時、親方は「基本が大事だ。手抜きしようとすればいくらでも出来る、しかし折角塗装したのに5年しか持たないようでは申し訳ない。まして次の仕事に続かない。第一こんな仕事しか出来ねえのか?と笑われるのが嫌だから」と語っておられました。
この姿勢は、二人の息子さんや職人方々にも染み渡り、素晴らしい仕事ぶりです。
これは、今回倉庫改装と外装全般を見ていただいた、大工さん(福本建業)の親方、そして吉村管工専務も、同じことを言っておられました。
私が菓子修行をした親方にもそのことを繰り返し教えていただいたように思います。
真面目に菓子を作り、その手間賃をお客様に頂いて商いをする。その地道な手間を惜しまず続けることが次の仕事につながり、商売として成り立つのだと思います。
職人修行の段階を表わす言葉に「守・破・離」だと教わった事があります。
師匠の教えを学び(守)、他流も学び(破)、「守」にとらわれず「破」を意識せず自分独自の世界を切り開く(離)という意味ですが、一人前になるのにはどの職業にしても、職人として「離」を目指し、真面目に仕事に打ち込むということ、そして「合縁奇縁の商売」を忘れてはならないと解しています。
昨今は、社会全体が忙しくなっていて無理もない話ですが、世の中が薄利多売の安価な物販販売業のような感じで、売るほうも買うほうも、利益追求だけで商売をしている方が増えたように感じられ、寂しい気がしていました。
今回の改装にあたって各親方衆の仕事に対する姿勢をみて職人として商人として、そして、社会人として本来あるべき姿勢を改めて確認することが出来たことを嬉しく思い、更に肝に銘じたいと思います。
蒼龍謹白 合掌
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