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訃報、「百鬼どんどろ」岡本芳一
先日、「百鬼どんどろ」の岡本芳一氏が亡くなったことを知りました。
聞けば、昨年秋より「骨髄異形成症候群」という難病で、松本の信州大学付属病院にて闘病していましたが2010年7月6日享年62才にて永眠したということでした。

岡本芳一氏は、「卍」を長野で見たのが始まりで、等身大の人形演じる女の美しさが一種異様な光景でした。
以来、個性的なパフォーマンスに魅了されてきた隠れファンです。

「百鬼どんどろ」とは、
HPによれば、1974年に岡本芳一が創立。
80年より「百鬼人形芝居どんどろ」と改名し荷車を引いて芝居道具、生活道具をつんで歩く旅芸人生活開始。
野宿、自炊の生活をしながら神社の境内等で 丸太小屋を掛けての見せ物人形芝居を展開。
農山村での暮らしと風土の中から、人間の内面に潜む情念をあつかった多くの作品を生む。代表作『清姫曼荼羅』では、有名な伝説を題材とし、執着のあまり蛇身に変じて男を焼き殺した女の情念を描く。
女は人形、男は遣い手によって演じられ、両者の動きは様式性を帯びて、エロティシズムを漂わせる。
上演の会場も寺社の境内や河川敷など、豊かな自然や土俗的精神性を宿すような場所が好んで選ばれる。
とあります。

等身大人形を遣うと同時に、遣い手自身も人形遣い としてではなく、 演技者として舞台を勤めています。
その独自のパフォーマンススタイルは、すべての既成のジャンルに属せず、人形そのものの持つ不思議な魅力を引き出す事により、 普遍的な人間の内面世界、幻想的な妖美の世界を描き出し、 カンヌ国際人形劇祭で最優秀賞を受賞する等、 世界各国で高い評価を受けています。

調べましたところ、今年の7月に、遺作となった映画「VEIN-静脈」が上映されるみたいです。
「VEIN-静脈-映し出されるのは、あなた自身の心」と題されたこの映画には、一連の百鬼どんどろ作品と同じく、セリフというものが一切ありません。
出演者は岡本芳一と少女人形のみ。人形師と少女人形の儚(はかな)い愛の物語とされています。


 
案内によれば、そこに漂うのは命のある人形師と命のない(はずの)少女人形のエロスとタナトスの世界。死の世界と生の世界の境界線を漂う愛と痛みの世界を表現しているようにも思える。岡本芳一と少女人形の動きは、アングラ演劇者のようでもあり、暗黒舞踏であるようにも見える。
ずっと舞台で表現を続けて来た彼が、まるで自分の運命を受け入れるかのように、最後に映像という形に残る媒体で作品を遺しました。
と、興味をそそられる言葉が並んでいます。
 
そして映画は、“モノ”(人形)と“生きモノ”(人形師)の間にしか生まれない「禁断の領域」で、愛と痛みの物語が交錯し、そこに刻まれたのは一人の表現者が己の運命を受け入れていくかのようにも見える「極限の愛と痛みの物語」をぜひ見に行きたいと思います。


私は人形に《念》(おもい)をこめない。
人の形に似せた《器》をつくる。
空でなければ《器》は用をなさない。
魂の入れモノだ。
観る人の心が内部(なか)に映ってはじめて
人形は舞台で《生きモノ》になる。

百鬼どんどろ 岡本芳一

ご冥福をお祈りいたします。
合掌



| ryuichi | 14:28 | comments (x) | trackback (x) | 「日暮硯」堂守ブログ |