人を見て説く   楠木正成

 

鎌倉末期、南北朝時代、九州より進撃する足利尊氏率いる北朝勢を迎えた、南朝勢、後醍醐天皇は、戦い前に作戦会議を開いた。
  楠木正成は南朝勢の形勢不利を説き、勝たないまでも、負けない戦略を練り、この軍儀の席上で作戦を建議したが、現況を楽観している後醍醐天皇はじめ、南朝重臣らには聞き入れられず、正成は、自らの手勢を率い討ち死に覚悟で、兵庫湊川へ出撃して行った。
  どんなにいい考え、優れた方策を持っていても、それが他人に受け入れられ実行されなければ価値が無いに等しい、必ずしも人は、最高の考え、最良の方策を受け入れるとは限らない。
  人を動かす説得力を生むための大きな要因は、相手に合った説明、説得をすることである、誰かまわず同じ説明をしても、決して説得できるものではない。
  人により、相手によって、大儀を説き、利を説き、或いは理に訴え、情に訴えるというように、適切に説いて説得にあたるべきである。
  その判断をする為に、それなりの経験をつみ、知識を深め、常に自分を高めて行く事が要求される。
  この場合の楠木正成は、説得する相手を見間違い、時代の流れに逆らい、忠臣としての男の美学を求めた。

蒼龍謹白 合掌