斉藤安養寺(庵)と「中妻文化財を守る会」

 

山里を紅葉で賑した秋も盛りを過ぎ、木枯らしが二度三度と吹きすぎると、落葉樹もすっかり落葉して、梢越しに深い紺青の空が光り、道の辺りを彩っていた草紅葉も、今はすっかりきらめきを失い、渋い色合いとなって目を慰めてくれます。
そんな晩秋の晴れ間をぬい、今年の春に斉藤地区の方々のご厚意により再建されたという「花立て地蔵(みちびき地蔵)」の東にある安養寺(庵)を訪ねてみました。
この安養寺は、寛永二年、三春城下大町にある浄土宗紫雲寺方丈の隠居寺として、良編岌誉上人により開山された小さなお堂で、御本尊は、如意輪観音で、三十三観音、子安観音、三光地蔵尊を祀っています。
まだ木の香りの残るお堂は、小さな質素な作りながら、境内もきれいに整備されていて、並んでいる石仏の表情も、どこか温和で誇らしげです。
三春でも肥沃な土地といわれる中妻の土地柄のせいか、温和な方々が多く、このお堂にも人々の温もりを感じます。
また、案内板には、その昔の縁日には説法会が開かれ、浄土宗ということもあり、町人が近郷近在の参拝者で賑わい茶店が軒を連ねたと云われます。
 中妻一帯で、史跡の案内板が各所に立てられていること気付きますが、これは「中妻文化財を守る会」の方々が、地区にある史跡を後世に伝えようと立てているもので、中妻地区住民の地元に対する想いには、頭が下がります。
 すぐ近くの月見崎には戦国期の三春城主田村氏の重臣で、田村四十八館の一つ松樹山上館の主斉藤大善の軍中勝利を祈願して、嫡子藤原頼位が建立した妙見様と呼ばれる、松樹神社があり、近くには五輪塔がありますが、その案内板には松樹山上館の主の墓と思われるとありました。
 さらに鷹巣には、集会所の西側に、三春城下後免町の福聚寺の末寺として、元禄二年翁宗印主座により開山されたといわれる、臨済宗円通山善應寺があります。
 ご本尊は、聖観世音菩薩で、田村三十三観音の第三十二番札所として、鷹巣のみならず、中妻地区の人々の信仰を集めました。
また、明治期に現中妻地区の方々や、近郷に住むその縁のある方々により納経された大般若経が六百巻納められおり、年に一度文化財を守る会の方々により御開帳されています。
 近年の社会情勢や就業体系の変化により、地元を省みない風潮が蔓延する中、この「中妻文化財を守る会」の方々のような、自分が生まれ育った町の歴史文化を誇りとして、孫子の代まで大切に守り残していくことが、明るい町つくりの真の姿なのでしょう。

蒼龍謹白 合掌