2019-08-09 Fri
奥州三春「古四王堂」震災復興再建“平成の大改修”真照寺山内
三春城下新町にある旧三春藩五万石安東・秋田氏祈願所「東門院日乗山真照寺」の山内に鎮座する「三春古四王堂」の“平成の大改修”工事が終わり落慶法要が行われました。
三春古四王堂は、正保2年(1645年)秋田俊季の奥州三春移封の際には旧領の常陸宍戸(茨木県笠間市友部)に残されますが、慶安3年(1650年)、三春二代藩主盛季によって祈願所真照寺と共に古四王を祀る御堂も三春に遷されます。真照寺は三春古四王堂の“別当(管理長官)”です。
三春移設当初は三春城下清水”天狗谷”にあった愛宕権現堂の地に移設して御借屋を建立したと記録されています。
現在の古四王堂は、正徳2年(1712年)に三代藩主秋田輝季によって再建されたもので、その御堂は、北面に建てられており建設当初は宝形造であったと思われ安東焼の流れを伝える丈六焼の宝珠が残されています。
また、正徳の再建では入母屋造となり縁が三方に廻されます。
その後、長い月日の中で数度の補修が加えられ、昭和30年代になって茅葺を現在のトタン葺きに改修されています。
この古四王堂も300余年という年月の中で風雨雪、そして先の東日本大地震にも耐え抜きましたが、老朽化と震災の影響により満身創痍、建っているのがやっとという状態で何年も耐えてきました。
今回、檀信徒の皆々様の復興への願いが叶い改修の運びとなりました。
古四王は、平安時代以降神仏習合の中で帝釈天とその守護四天王を祀り、特に北方を守護する毘沙門天を本地仏としていました。
また、招福息災の薬師如来として眼の仏様としても信仰されて北日本は新潟の下越から青森津軽にかけての日本海沿岸に多く見られます。
「日ノ本将軍」「蝦夷探題・管領」として津軽十三湊を拠点に北日本海沿岸から東南アジア一円に広大な航路経済圏を形成し繁栄していた三春秋田氏の祖である安東氏が「古四王」を篤く信仰したためと考えられています。
毎年、真照寺では旧暦の初寅には古四王堂のご本尊の一つである「毘沙門天(多聞天)」の初寅祭典が本堂で開催されています。
“寅の日”は「毘沙門天」の縁日です。商売繁盛・家内安全・長寿・勝運など様々な御利益、無量の“福徳”を授かることができるとされており、初寅講中の各地区世話人の方々を中心に多くの檀信徒の皆様が参詣されています。
尚、真照寺本堂内にある帝釈天とその守護四天王である「持国天」、「増長天」、「広目天」そして「毘沙門天(多聞天)」の木造立像は、秋田家の祖である「安倍貞任」の縁起を伝えていると云われており二代藩主秋田盛季が奉納したもので、本来は古四王堂内に安置されていました。
「誰が作詞か、作曲かが判らなくても、みんなが知っている歌。歌い続けられている歌。
そんな歌を歌う歌手になりたい・・・」20年来、真照寺阿吽講でライブを行っている現代の吟遊詩人小川ロンさんから伺った言葉です。
300年前にこの古四王堂を建立した方々はこの世には居ません。300年後も私たちを知る人はいないでしょう。
しかし、改修後、時は流れても古四王堂の建物はここに存在し、法要などが営まれていることにロマンを感じます。
“仏教の修行とは一切の妄想、執着を断ち切って、人知れず捨て去られる一足の破れ草鞋のようにその存在すら知られずに修行することが僧の理想。それが真の「仏」の境涯になるということである”と仏教では説いています。
何もひけらかすことなく、自分の生き方を最後まで全うするための知恵の大切さを教示していると解していますが、ご縁がありこの古四王堂に係わるすべての人々の姿そのものなのだと改めて思います。
元大工の棟梁の増子勝義さん寄贈の手作り浄財箱
匠の技が生きています。
増子さんは、参道下の家を構えていますので寺男的な役割を果たしていただき、山内整備を布施されています。
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2019-07-21 Sun
古四王堂の「鰐口」に鈴緒(鰐口の紐)がつきました。
古四王堂復興再建の棟梁である田中建築企画室社長の田中聖輝様による奉納です。
鰐口のに当たる部分には丸い木の棒が付いていますので、良い音が出るかと思います。
参拝の際には、是非鰐口を一、二回鳴らしてお参りください。
鰐口はそのままです。
来月の4日には、古四王堂震災復興再建落慶式が挙行されます。
また、三春城下に新しい歴史のいいページが刻まれます。
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2019-01-19 Sat
旧三春藩五万石秋田家主祈願所真照寺山内にある「古四王堂」の東日本大震災による被害からの復興再建工事が完了しました!
かつては「大日堂」そして、「古四王堂」として信仰を集めていました。
堂内の須弥壇には、大日如来像と四天王・東の持国天,南の増長天,西の広目天,北の多聞天 (→毘沙門天 ) がありました。
大日如来像は、現在はありません。
他の四天王は本堂内に保管されています。
足場も、この30日には撤去され2月3日の節分会に間に合いました。
そして、来月の引き渡しを待つばかりとなりました。
以前の古四王堂の使える部材を最大限に使用しました。
所々に色目の違う部材が見て取れます。
大工さんの腕の見せ所でした。
須弥壇下の文様は、解体前は護摩焚きの煤がこびり付き真っ黒になっていて判りませんでしたが、実は金箔が施されていました。
外の飾り部材も以前の部材を修復した逸品です。
堂版の屋根なども含めて、時間の経過とともに、色もなじんでくることでしょう。
柱や梁などの主要部分は度重なる修復歴があり、構造・強度の問題もあってすべて新品が使われています。
戸板も修復品です。
秋田家の家紋・裏家紋も健在です。
落慶法要は8月に予定しているそうです。
これから何百年もたち続けるであろう「古四王堂」
節分会の豆まきの折にゆっくりとご覧ください。
御札護摩焚き供養の紅蓮の炎に照らし出される古四王堂も幻想的でしょう。
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2018-10-16 Tue
真照寺山内三春古四王堂改修工事 2018.10.16
本堂妻の木連格子が取り付けられました。
この木連格子も前の建物よりの移築となります。
三春古四王堂は、長い歴史の中で4回ほど屋根が得改修が施されていたようです。
建築当初は、茅葺の宝形造りの四角形の屋根でしたが、のちに入母屋造りに、そして改修と吹き替えの繰り返されていたようです。
茅葺屋根もすべてが萱ではなく、ススキも使っていたようです。
大屋根を支える重要な骨組み、長い地棟と、大梁、棟木なども、旧古四王堂部材を出kるだけ使えないか?という住職さん、檀家さんの希望があり、良い状態の部材やに防腐剤として柿渋を塗って使用しているそうです。
瓦の重量を支える丸太組みなども、前の部材を生かすために新しい材料を古い部材に寄せていくという作業、屋根も屋かを撤去した部分もありますので下地の高さを寄せていく作業・・・・お疲れ様です。
さあ、紅葉が始まれば三春城下紅葉ライトアップが開始されます。
今年は10月25日ごろからライトアップの予定です。
暖かくしてお出かけください!
尚、三春古四王堂復興改修工事の現場は工事用柵内は安全確保の為に立ち入り禁止となっています。
外側からご覧くださいますようお願い申しあげます。
殿様御成りの間よりライトアップされた方丈庭園を望む 昨年の様子 です。
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2018-09-19 Wed
真照寺山内「三春古四王堂」の修復工事も順調に進んでいます。
柱が立ち始めました。
使える部材を残しつつ、新しい部材での修復です。
大工さんも一苦労ですね!
般若心経を写経した木板が出てきました。
先の修復、戦後か、明治期か、はたまたその前か・・・
戦争に出征する息子の生還を祈願しての願掛けか・・・
奉納願主のお名前までは識別できませんが、写経木版を収めた方々の思いが現代によみがえります。
大切にしたい人への思いのつまった、やさしい人の心の表れだと思います。
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| ryuichi | 05:23 | comments (x) | trackback (x) | 🌸三春藩主秋田家祈願所 真照寺::古四王堂平成の大改修 |
2018-07-12 Thu
旧三春藩秋田氏祈願所の三内にある古四王堂が改修工事の為に、柱も一時的に完全の撤去されました。
300有余年もの前からこの場所にある「古四王堂」です。
当然ですが、私が幼き頃、物心がついた時からそこに在って、多分50年くらいは前からは記憶にありました建物「古四王堂」が、今はありません。
礎石群もその役割を終えようとしています。
長い間「古四王堂」を支え続けてきた石たちです。
お賽銭が・・
礎石の上に載せてあった構造物が、地震の度に、少しずつ、少しずつズレてきました。
ここに基礎を打って古四王堂の改修工事が本格的に始動します。
毎朝楽しみで仕方がありません。
そして、この時期のお楽しみは~……そうです。
蛍です。
方丈庭園の池が落ち着いてきたんでしょう?
まだ、数匹の飛翔で、そんなに数は多くありませんが、なんと”蛍”が飛び始めました。
方丈の池の環境サイクルが軌道に乗り始まったんでしょう。
昼間には、神様トンボも飛んでいます。
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| ryuichi | 04:25 | comments (x) | trackback (x) | 🌸三春藩主秋田家祈願所 真照寺::古四王堂平成の大改修 |
2018-07-07 Sat
古四王堂の改修 屋根部分が撤去されました。
使える部材を最大限に活用できるように慎重な解体作業です。
木組みもご覧のように保存しています。
中と外でははっきりと白黒に分かれています。
本堂縁側に並べられていきます。
菊の御門も
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| ryuichi | 04:49 | comments (x) | trackback (x) | 🌸三春藩主秋田家祈願所 真照寺::古四王堂平成の大改修 |
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